FORCA PL-CF工法

当て板工法に替わる、炭素繊維シートを用いた鋼構造物の補修・補強工法

PL-CF工法は、錆が進行し、板厚が減少してしまった鋼部材の耐力を回復する工法で、従来からの当て板工法等に代替する最新の炭素繊維シートによる構造物の長寿命化・老朽化対策工法です。
鋼部材と炭素繊維シートの間に、低弾性の「高伸度弾性パテ材」を塗布することにより、鋼部材が変形しても炭素繊維シートが剥離しない仕組みになっています。
従来からの炭素繊維シート工法は、鋼構造物への適用は引張補強のみとなっていましたが、本工法では、圧縮力およびせん断力が働く部材においても炭素繊維シートおよびストランドシートが適用可能にとなりました。

■高伸度弾性パテ材(ポリウレア樹脂パテ)とは?

高伸度で低弾性なポリウレア樹脂で応力集中を緩和し、剥離を抑制して炭素繊維シートの性能を最大限に活かします。

炭素繊維シートと母材(鋼材)の間に、高伸度弾性パテ材(ポリウレア樹脂パテ)を塗布することにより、座屈や面外変形を起こすような圧縮応力が作用しても、母材から炭素繊維シートが剥離することなく、降伏まで追従する仕組みを取り入れました。
それにより、従来からの引張力だけでなく、せん断力、圧縮力に対しても補強することが可能になりました。
(特許番号:5380551)

■PL-CF工法の特徴

材料が軽量である

材料の炭素繊維シートまたはストランドシート、樹脂は非常に軽量であり、現場へ手で持ち運びが可能

施工に大きな工具を使用しない

大型の機械・工具を使用しない為、狭隘で今まで補修出来なかった箇所も補修が出来る可能性が高まる

腐食しない

炭素繊維は腐食しないため、維持管理に有効

現場加工可能

炭素繊維シートはカッターナイフで切断可能(ストランドシートはディスクサンダー)であるため、現地でサイズの微調整が可能

部材を傷つけない

炭素繊維シートまたはストランドシートをエポキシ樹脂で鋼部材に接着させる工法であるため、すでに腐食・劣化が進んでしまった部材をそれ以上傷つけずに施工できる。

空気,水を遮蔽する

炭素繊維シート補強層は酸素,水蒸気をほとんど通さないため、シートを貼った個所については以後の腐食劣化の懸念が小さい

シート端部の応力集中を緩和できる

シートを2層以上重ねる場合は、端部は所定の長さをずらして貼るため、シート端部の応力集中を緩和できる

直線部はストランドシートを使用可能

ストランドシートを適用できるため、直線部はより効率よく補修・補強することが出来る。

維持管理性

打音検査により,炭素繊維シートの剥離や補修箇所の再劣化が検知可能.

設計手法、施工手法が確立されている

炭素繊維シートによる鋼構造物の補修・補強工法設計・施工マニュアル 平成25年10月, (株)高速道路総合技術研究所, 3,100円

http://shop.ri-nexco.co.jp/goods/1381369829643/

道路橋の補修・補強計算例U, 橋梁調査会, 鹿島出版会, 5,400円, 978-4-306-02463-2, 2014年11月

https://www.tokyo-kansho.co.jp/asp/book/book_detail/?id=b1582220ece5bf2a892a602470b13dd9

    ■施工手順

@ 下地処理(ケレン処理、ブラスト)※2種ケレン程度

ケレン前

 

ケレン後

ケレン前

 

ケレン後

A プライマー塗布(耐熱型エポキシプライマー)

計量

練混ぜ

プライマー塗布

完了

B 不陸修正(耐熱型エポキシ樹脂パテ)

計量

施工

 

完了

C 高伸度弾性パテ材用プライマー(ウレタン樹脂プライマー)塗布

D 高伸度弾性パテ材(ポリウレア樹脂パテ)塗布

E シート接着(耐熱型エポキシ樹脂接着剤)

シートカット

練混ぜ

接着樹脂含浸・脱泡

 

完了

F 仕上げ塗装

■施工例

     ◆NEXCO関連
橋梁名 円明寺高架橋 2013.06
発注者 西日本高速道路(株)
部 材 端部垂直補剛材,支点部腹板
写 真
橋梁名 田尻川橋 2015.10
発注者 中日本高速道路(株)
部 材 支点部腹板
写 真
橋梁名 湖辺底橋 2014.01
発注者 西日本高速道路(株)
部 材 端部垂直補剛材,支点部腹板
写 真
橋梁名 駒飼橋 2016.07
発注者 中日本高速道路(株)
部 材 トラス橋端ガセット
写 真
     ◆首都高関連
橋梁名 首都高向島線 2014.12
発注者 首都高速道路(株)
部 材 箱桁端部ダイアフラム
写 真
橋梁名 首都高小松川線 2016.09
発注者 首都高速道路(株)
部 材 桁端部補剛材
写 真
     ◆その他自治体、民間
橋梁名 住谷橋 2016.02
発注者 青森県
部 材 歩道橋デッキ下面
写 真
橋梁名 白比橋 2017.02
発注者 内閣府沖縄総合事務局
部 材 主桁フランジ
写 真

【腹板下部のR加工の例】

Rガイド(R=50)

 

成形後

現地塗装後

■設計概要

     ◆設計に関する一般事項

(1)炭素繊維シートの繊維の方向は、鋼材表面に発生する主応力の方向を基本とする。

(2)下地処理方法は1種ケレンまたは2種ケレンを標準とし、CFRP接着範囲のさび及び既存塗膜を完全に除去する。

(3)CFRP接着量は、腐食箇所の断面欠損量又は目標とする補強量に応じて決定する。

(4)炭素繊維シート、ストランドシートの設計厚さは、炭素繊維のみの断面積を用いる。

(5)高伸度弾性パテ材の設計厚さは、0.8mmを標準とする。

     ◆設計荷重

(1)補修・補強対策の設計に用いる荷重は、既設鋼断面に対してCFRP接着前死荷重、鋼とCFRPとの合成断面に対して活荷重及びCFRP接着後に作用する死荷重を考慮する。

(2)CFRPと鋼材の線膨張係数の差により生じる温度応力の影響は考慮しなくてよい。

(3)荷重の繰返し作用によりCFRP及び鋼とCFRPとの接着層に生じる疲労の影響は考慮しなくてよい。

     ◆軸方向力及び曲げによる垂直応力を受ける部材の設計

(1)炭素繊維シートは、繊維の方向が部材軸方向と一致するように接着するのと基本とする。

(2)鋼部材の補修・補強必要断面積を算定し、必要となるCFRP積層数を決定する。高伸度弾性パテ材を接着層に塗布することで、高応力時や座屈変形時においてもCFRPの剥離が確実に防止できる一方で、CFRPから鋼部材への荷重伝達効率が低減する。荷重伝達効率の低下の影響は、「応力低減係数(cn)」を炭素繊維シートの鋼換算断面積に乗じることにより評価している。

(3)炭素繊維シートの長さは、欠損部長さから定着長を加えた長さとする。

(4)接着端は、部材軸方向に炭素繊維シートを1層毎にずらし長を取って接着する。

(5)炭素繊維シートの繊維方向の重ね継手長は、100mmを最小値とする。

(6)数層の炭素繊維シートを接続する場合は、接着層を1層毎に25mmずらして接着する。

(7)炭素繊維シートの繊維直角方向の幅は部材の幅方向縁端から5mm控えた寸法とし、部材の角部(出隅・入隅)には、炭素繊維シートを接着してはならない。

     ◆支点反力を受ける部材の設計

(1)炭素繊維シートは、繊維の方向が鉛直方向となるように接着するのを基本とする・

(2)CFRP接着の対象は支点上補剛材と腹板(支点上補剛材の中心から腹板厚の12倍の範囲)からなる支点上十字柱の範囲とする。

(3)炭素繊維シートの長さは、欠損部長さから定着長を加えた長さとする。

(4)数層の炭素繊維シートを接続する場合は、上側の接着層を1層毎に25mmずらして接着する。下フランジ側の接着端は、下フランジと支点上補剛材あるいは腹板との溶接ビード手前までとする。

     ◆せん断力を受ける部材の設計

(1)せん断力が卓越する鋼桁の桁端部腹板に貼る炭素繊維シートは、繊維の方向が下フランジに対して±45°方向となるように、交互に密着する。

(2)上側の接着端は、鉛直方向に炭素繊維シートを1層毎に10mmずらして接着する。また、下フランジ側の接着端は、R50mmで下フランジに定着し、下フランジ縁端から5mm以上控えて接着する。

(3)積層数が多くなる場合は、鋼板両面の合計欠損量を両面のCFRPで等分に負担するように貼付け位置を分散させてもよい。

     ■補強材の種類と性能
繊維種類 高弾性型炭素繊維シート 高弾性型ストランドシート
品番 FTS-C8-30 FTS-C8-40 FSS-HM-600 FSS-HM-750 FSS-HM-900
目付量g/u 300 400 600 750 900
引張強度 N/mm2 1,900 1,900 1,900 1,900 1,900
弾性係数 N/mm2 6.4 × 105 6.4 × 105 6.4 × 105 6.4 × 105 6.4 × 105
設計厚 mm 0.143 0.190 0.286 0.357 0.429
製品幅 mm 250,500 250,500 500 500 500
製品長さ mm 25m/巻 25m/巻 3m/枚 3m/枚 3m/枚
定着長 mm ※1 200 208 225 237 250
ずらし長 mm ※2 25 33 50 62 75

※1 軸力・曲げモーメントによる垂直応力を受ける部材の場合の定着長を示す。(支点反力・せん断力を受ける場合の部材は別途マニュアル参照)

※2 軸力・曲げモーメントによる垂直応力を受ける部材のずらし長を示す。(支点反力・せん断力を受ける場合の部材は別途マニュアル参照)

     ■PL-CF工法による鋼部材の補強効果

PL-CF工法は、引張部材だけではなく、圧縮力を受ける部材や、せん断力を受ける部材に対しても実験により補強効果が確認されており、鋼桁端部の十字柱や腹板に対しても適用可能である。

     ◆研究論文

【研究論文1】

論文名 高伸度弾性パテ材を用いた炭素繊維シート接着による鋼桁補修設計法の提案
著 者 若林大, 宮下剛, 奥山雄介,秀熊佑哉, 小林朗, 小出宜央, 堀本歴, 長井正嗣
ジャーナル 土木学会論文集F4(建設マネジメント)
番 号 Vol.71 (2015) No.1. 公開日 2015年4月20日
URL https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejcm/71/1/71_44/_pdf
要 旨 鋼構造物の腐食は,局部的な漏水などの影響により部分的に生じることが多い.特に伸縮装置からの漏水に起因する鋼桁端部の腐食が顕著であることが知られているが,他にも排水装置や床版ひび割れからの漏水,凍結防止剤の飛散などの影響により鋼構造物の各部で腐食が生じている.従来,CFRPを用いた鋼構造物の腐食補修工法は,高応力下や座屈変形時の剥離が懸念されていたため,その適用条件が限定的であり,様々な腐食形態に対して対応が困難となるケースが多かった.そこで著者らは,CFRPの剥離抑制対策として低弾性かつ高伸度のパテ材を接着層に塗布する仕様を用い,各種鋼部材の特性に応じた補修量算定法や構造細目を提案した.本稿では,これらの新たな補修設計法を示すとともに,実験・解析を通じてその妥当性を検証した結果について報告する.

【研究論文2】

論文名 高伸度弾性パテ材を用いた炭素繊維シート接着による鋼橋軸力部材の補修
著 者 宮下剛, 若林大, 秀熊佑哉, 小林朗, 小出宜央, 堀本歴, 長井正嗣
ジャーナル 土木学会論文集A1(構造・地震工学)
番 号 Vol.71 (2015) No.5. 公開日 2015年05月31日
URL https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejseee/71/5/71_II_23/_pdf
要 旨 本研究では,腐食損傷した鋼橋の軸力部材を炭素繊維シートで補修する工法において,低弾性で伸びが大きい高伸度弾性パテ材を使用することを検討する.ここで,パテ材を使用しない場合と同様に鋼部材の応力低減を図ろうとすると,必要となる炭素繊維シートの定着長が長くなり過ぎる.このため,定着長を200mm,端部ずらし量を25mmとした上で,応力低減係数という係数を新たに導入する.係数の決定では,数値計算方法を援用してパテ材の厚さなどをパラメータとしたパラメトリック解析を実施する.そして,炭素繊維シートの積層数と応力低減係数の関係を把握して,補修設計で用いる応力低減係数を決定する.さらに,この係数を用いて急激な断面欠損を有する軸力部材を炭素繊維シート接着工法で補修する方法についても検討する.

【研究論文3】

論文名 腹板をCFRP補強した鋼桁のせん断座屈試験と強度評価法
著 者 奥山雄介, 宮下剛, 若林大, 小出宜央, 小林朗, 秀熊佑哉, 堀本歴, 長井正嗣
ジャーナル 土木学会論文集A1(構造・地震工学)
番 号 Vol.68 (2012) No.3. 公開日 2012年11月20日
URL https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejseee/68/3/68_635/_pdf
要 旨 鋼橋の劣化の大半は腐食が原因であり,その多くは桁端部の腹板や垂直補剛材に見られる.本研究は,この中でも桁端部腹板の腐食損傷を対象として,CFRPを用いた補強工法の開発を目的としている.ここでは,CFRPによる補強効果について検討するため,炭素繊維の目付量,腹板パネルへのCFRPの積層方法,腹板パネルのアスペクト比をパラメータとしてせん断座屈試験を実施した.この結果,炭素繊維の目付量に応じた補強効果が得られることや,CFRPを腹板の対角方向にX字に貼り付けることで合理的な補強が可能となることを確認した.また,腹板をCFRP補強した鋼桁のせん断強度を評価するために,CFRPと鋼板からなる積層板の弾性せん断座屈強度を算出し,Basler式に準じて計算したところ,評価値は全ての実験ケースに対して概ね良好な結果となった.
     ◆鋼構造物ジャーナルNET

炭素繊維シートによる鋼部材の補修・補強工法を周知 高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)道路研究部 橋梁研究室長 青木 圭一 氏のインタビューより

https://www.kozobutsu-hozen-journal.net/interviews/detail.php?id=1060&page=2

「大規模更新・大規模修繕関連技術中心にNEXCO3社の平成29年度基準改定」

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)道路研究部 橋梁研究室長 広瀬 剛 氏のインタビューより

https://www.kozobutsu-hozen-journal.net/interviews/detail.php?id=1205&page=5

     ◆NETIS取得情報
NETIS登録番号
PL-CF工法 取得中
トウシート工法 QS-990014-V
ストランドシート工法 QS-080011-V
     ◆特許情報
特許番号 特許5380551
特許権者 新日鉄住金マテリアルズ株式会社,川崎重工業株式会社
特許の名称 鋼構造物の補強構造体
特許の内容 高伸度弾性パテを介して鋼部材の繊維シート補修・補強された構造体
特許番号 特許5820435
特許権者 新日鉄住金マテリアルズ株式会社,川崎重工業株式会社
特許の名称 鋼構造物の補強方法及び鋼構造物補強用弾性層形成材
特許の内容 高伸度弾性パテを介して鋼部材を繊維シート補修・補強する工法および鋼構造物補強用弾性層形成材
特許番号 特許5688525
特許権者 国立大学法人長岡技術科学大学,株式会社高速道路総合技術研究所,東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,川崎重工業株式会社,新日鉄住金マテリアルズ株式会社,倉敷紡績株式会社
特許の名称 鋼板の繊維強化樹脂補修補強構造および補修補強方法
特許の内容 高伸度弾性パテを介して繊維シートにより鋼桁腹板のせん断補強する工法および 補強された構造体
特許番号 特願2013-270577(出願中)
特許権者 国立大学法人長岡技術科学大学,株式会社高速道路総合技術研究所,東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,川崎重工業株式会社,新日鉄住金マテリアルズ株式会社,倉敷紡績株式会社
特許の名称 鋼橋の補修補強方法及び補強構造体
特許の内容 高伸度弾性パテを介して繊維シートにより鋼桁端部の支点反力を受ける部材を補修する工法および補修された構造体
特許番号 特願2013-270579(出願中)
特許権者 国立大学法人長岡技術科学大学,株式会社高速道路総合技術研究所,東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,川崎重工業株式会社,新日鉄住金マテリアルズ株式会社,倉敷紡績株式会社
特許の名称 鋼構造物の補修補強方法
特許の内容 高伸度弾性パテを介して繊維シートにより低減係数を考慮して軸方向力/曲げによる垂直応力を受ける鋼部材を補修する工法および補修された構造体

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